アートオークション

#1 2021.05.22 /
#2 2021.05.29

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近年人気を集める「アートオークション」の世界を旅するのは、アート好きアイドルの和田彩花さん。和田さんがアートの世界に興味を持つようになったきっかけは2010年、三菱一号館美術館で開催されていた『マネとモダン・パリ展』を目にしてから。

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和田さん 絵画というものは色鮮やかで、美しいものっていうイメージを持っていたんですけど、マネの絵は黒が多用されていて、でもそれがすごくキラキラして見えたんです。人が倒れてる絵もあったんですけど、こういうテーマの絵もあるんだ、と知って「美術って面白い」と思うようになりました。それから、美術館に通うようになり、大学に行って美術史を学んで今に至ります。

エドゥアール・マネ(1832-1883)▶フランスの画家。印象派に影響を与えたことから印象派の先駆者。近代絵画の始祖とも呼ばれる。

そんなアートを愛する和田さんが最初に訪れたのはアートコレクターの桶田俊二・聖子ご夫妻のお宅。お二人は「OKETA COLLECTION」という展覧会を開催し、毎回1万人以上のアートファンが訪れている。

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ご夫妻は、元々は骨董の収集からスタートし、10年ほど前から現代アートを集め始めたということで、玄関には村上隆と奈良美智という現代アートを代表する二人の作品が。和田さんも「入ってきたら“奈良さーん!村上さーん!”ってなります」と興奮気味。「実際飾ってあるところを見ると、美術館で見るのと雰囲気が違いますね。“作品”というよりインテリアとして楽しませてくれる」と話し、所有する魅力を感じ取った様子。

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OKETA COLLECTION▶桶田俊二・聖子夫妻が2016年から始めた展示会。巨匠から若手世代まで時代を反映したコレクションで形成される。

桶田俊二さん・聖子さんご夫妻は、草間彌生さんの『NHKスペシャル』の番組(『水玉の女王 草間彌生の全力疾走』2012年9月放送)を見て、そのエネルギーに惹かれ、コレクションを始めたとのこと。桶田俊二さんによると、「そこから村上(隆)さん、奈良(美智)さん、他のアーティストさんの作品を購入。さらにもう一段階若いアーティスト(名和浩平さん、加藤泉さんなど)の作品も集め、枝葉が広がっていきました」ということで、その後、国内外のこれからのアーティストにも目を向け、注目の作家の作品を多く所蔵するようになったそう。

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「これからのバスキアになるんじゃないかと言われています」とエディ・マルチネズを紹介してくださった桶田夫妻。さらに、ハーヴィン・アンダーソン、クレア・タブレ、ジャデ・ファドジュティミなどの現代のアーティストを丁寧に説明し、森美術館で開催されていた「アナザーエナジー展」のポスターにもなっているミリアム・カーンの作品も紹介され、和田さんも興奮が押さえられない様子だった。

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ミリアム・カーン(1949-)▶スイスを代表する女性アーティスト。欧州を中心に国際的に活躍し、油絵や水彩画、写真、彫刻と幅広く手掛ける。

和田さん お家に飾ってあると、雰囲気が違いますね。絵の雰囲気、見え方が変わるっていうのが大発見で、いいなーと思いました。自分の家に絵を欲しいと思ったことはなかったんですけど、初めて「欲しい」と思いました。

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アートを所有する楽しみを感じた和田さん。次に訪れたのは、SBIアートオークションの「下見会」会場。オークションに取り上げられる作品を事前に見られる会場で、オークションに参加しない一般の人でも見ることのできる場だ。

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SBIアートオークションの広報を務める塚田萌菜美さんの解説で会場をじっくりと見て回った和田さんが、「私この作品好きです!これがお家にあったらすごく癒されると思います」と声をあげたのは山口長男さんの作品。積極的な和田さんのリアクションに「そういう感覚持っていただけているのがすごく嬉しいです」と塚田さん。少し敷居が高い世界と思われがちなアートオークションへの第一歩を踏み出したという瞬間だった。

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【SBIアートオークション広報・塚田萌菜美さん】
作品には「一点物」と限定数つくられている「エディション」があり、例えば「エディション50」と入っているものはこの世にこれと同じものが50あります、ということになります。
また、作品の横に数字(予想落札価格)も提示されいるので、普通の美術館とはまた見え方が違ってくるかもしれないですね。若手の作家さんだと2~3万円とか5万円で買えるものもあって、もしかしたらその作家さんがゆくゆくは次のマネになるんじゃないか、とか。次の草間彌生になるんじゃないか、という見方もできますよね。

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なお、塚田さんが今回のオークションでの注目作品として紹介してくださったのは、KYNEさん(予想落札価格:700万円~1400万円)、ロッカクアヤコさん(予想落札価格:1200万円~1800万円)。ともに30代の作家さん。こうした作品たちを前に、撮影時間をオーバーしてアートの話に花を咲かせた二人だった。

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和田さん アートを所有するというと、裕福な方の趣味っていうイメージがあったんですけど、実際に来てみると、値段が出てくることは緊張することじゃなくて、より絵との距離が近くなった気がしました。より一歩踏み込める感じがしていいですよね。

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次に塚田さんから紹介されたのは【オークションの参加形式】。

①会場でのパドル方式
②電話による同時参加
③オンラインでの同時参加
④書面による委託入札

という4つの参加形式があり、まずは事前登録が必要。この日和田さんも必要情報と本人確認書類などを登録し、和田さんも実際のオークションに向かうことに。

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ついにSBIアートオークションの現場に潜入することになった和田彩花さん。オークションが始まると、思わず「めっちゃ早いですね。スピードに頭が追いついていかない」と目を丸くするほどのスピード感。オークション会場での入札から落札まで猛烈な勢いで進んで行く。

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フィリップス・オークショニアズの服部今日子さんによると、ここ数年アートオークションの熱は高まっておりその理由としては、所有者が、SNSでコレクションを公開する人が増え、それを見ることで自分もコレクションしようと思う人が増加したことや、株が上昇したことで、資産運用の一環として考える人が増えたこと。また、オンラインテクノロジーが発達したことで参加しやすくなったことなどがあると解説。アジアのオンラインセールスは2019年と比べて(2020年は)635%増。大幅にUPしているという。

【オークションが流行している要因】
①SNSでコレクションを公開するようになった
②株価の上昇
③オンラインのテクノロジーが進んだ

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番組では佐々木堅人ディレクターがオークションに登録申し込みを行い、急きょ参加。落札できるか挑戦したみたものの、38万円までチャレンジして断念。競り落とすことはできなかった。「スピード感が速くて。めちゃくちゃ足が震える」と体感しないとわからない生々しい感想が飛び出した。

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オークションは徐々に熱を帯び、SBIアートオークション広報・塚田萌菜美さんが注目作品としてあげていたKYNEさんの作品が登場。800万円からスタートし、あっという間に値が上がり、2700万円で落札。その迫力に和田さんは圧倒されるのみ、といった表情。また、この日の目玉作品、奈良美智さんの作品が登場すると、空気がさらに緊迫したものとなり、1500万円からスタートし、100万刻みで上がっていき、急激にヒートアップ。終盤は200万、500万と上がる幅も大きくなり、最終的には6700万円で落札された。

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【フィリップス・オークショニアズ・服部今日子さん】
(作品の価値は)どの美術館で展覧会歴があったとか、誰が保有しているか、その作家の中で勢いのあったいい年代の、どこに位置付けられてる作品かなど、いろいろな要素によって決まります。

【SBIアートオークション広報・塚田萌菜美さん】
(この日)落札された方は、ちゃんとした人たちばかりで、そういうところにお嫁入してくれてよかったなという気持ちです。

和田さん 作品を買う文化って素敵だな、と思いました。それは作家さんを支えることになりますし、文化の接し方って色々あるんだなと改めて感じました。いい経験になりました。将来たくさんの貯金が増えて絵が買えるとなったら、アーティストや作家さんを支えるという意味の所有…そういうことにお金を作っていきたいと思いました。

アートを愛する和田さんにとっても少し距離のあったアートオークションの世界、一歩踏み込むことで、また新たなアートと楽しみ方を知ることになった今回の旅だった。

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出演者

和田彩花